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空の上での七並べ

いがもっちの意外かも

短編奇譚

啐啄(そったく)

言葉に表すことはできないが決定的に何かが足りなかった。 あとは睛(ひとみ)を足せば竜を描きあげることができる。 しかし、その睛が霧がかる山間で失くした装具のように見つからない。 テレビを観るのさえ憂鬱になったのはいつからだろう。 友達と宅飲み…

灰色の女

縁石上で傘をさす。 車と靴と蛙とヒメジオン。 屈んでため息、立ち上がる。 すれ違っては振り向いて。 その後すぐにまた散歩。

写絵

水の斑点を様した畦道を歩く。 停留所の茅葺小屋に女性が独り佇んでいる。 彼女が身に纏う衣服は私の所持する服だ。 俯せた顔を伺う。 それは紛れもなく私の顔だった。 瓜二つの顔ではあるのだが似て非なる顔。 ブツブツと面皰だらけの顔はまるで沈殿した泥…

世界一不幸決定戦 後編

「エーーーーーンントーリーーーNo.5! 佐藤翔ぅ!」 さとう・かける。 それが僕の名前だった。 懐かしいようでなつかしくない。 「ええっと……」 僕は独白を始めることができない。ただ黙っている。 僕の様子に気付いてのことか会場がざわめき出す。 「どう…

世界一不幸決定戦 中編

「なんなんだここは。どうして僕はここにいる。僕はなんで死んだんだ。僕はいったい誰なんだ?」 その男は呟く。 男は記憶がなかった。気づいたら会場の控え室にいて「世界一不幸決定戦」の概要の説明を受けることになっていた。 自分が何人で何語を話してい…

世界一不幸決定戦 前編

※この短編は前編、中編、後編の3部構成からなります。 「さぁ、始まりました。大人気企画・世界一不幸決定戦。この度、459回目を迎えることとなりました。司会は私、先行(サキユキ)訃冥(フメイ)が努めさせていただきます」 盛り上がる観客席。 「さ…

或る会話

ジョージ「自殺志願者って羨ましいと思わないかい? マイケル」 マイケル「なんでさ? 君の言っていることには全く同意できない」 ジョージ「だってさ、自殺志願者って死が一番怖いことではないのだろう? それよりも怖いものがあるから自殺するんだから」 …

経済産業省に電話してみてよう