ハヤシライスで世界を救え!! 調理開始
ある日のことであった。
ハヤシライス調理実験初期段階。
「あれ、これうまいんじゃね? 店出せるくね?」
と、店長と僕はノリに乗っていた。
そんななか二人の知り合いの女性に試食してもらう。
「正直に言っていいですか? 美味しくないです」
初の女性の意見ということもあってタジタジになる店長と僕。
内心若干の焦りを見せつつも女性は淡々と持論を述べていく。
「コクがないし、塩っ気もなくて味が薄いです。酸味だけがただ強くて」
こうして二人の男はなすすべなく佇んだ。
ワインとトマト缶をベースにしてしまったせいか味が薄くなってしまったのかもしれない。自然味あふれる味は濃い味に慣れてしまっている今の若者に響かない。
と、なんとか昇華させてみたがショックを隠すことはできなかった。
「こうなったらあの女性に絶対美味しいって言わせてやる!」
僕と店長は誓いを立てるのであった。
こうして二人の逆襲のハヤシライス作りは幕をあけるのだった。
ハヤシライスで世界を救え!! 下準備
ハヤシライス。
カレーライスが席巻する現代においてその地位は決して高くない。
カレーライスをどうしても食べたくなる日はあるがハヤシライスをどうしても食べたくなる日というのはあまり聞かない。
そんな料理界のポジション争いをはかる彼らに救いの手が。
S店長と僕の二人の英雄が手を差し伸べることになったのだ。
地下活動を続け、水面下で脚光を浴びることを待ち続けている彼らの大逆襲が今はじまろうとしていた。
S店長。言わずと知れたカリスマアラサー男子。
「俺!?」や「魚!?」などの名言を生み出す彼の言葉の数々は言ってしまえば最早、迷言であることに疑いの余地はない。
公務員にオサラバした彼が次に手がけるのがこのハヤシライス作りであった。
僕。しがない、いち地方大学生。
高校生の頃から縦横無尽に学校優等生として学校デモクラシーの頂点を極めし男であったが、天狗になって王座に踏ん反り返る男を神様が見逃すはずはなかった。
浪人が確定し、
「受験番号落ち(スプリットスピリッツ)」
「あらかじめ定められた不合格(フェイルドフェイト)」
「確定二浪(フォールインオール)」
の異名を持つこととなった。
今回、世の中の異端者として名を馳せるワールドエンドな二人が美味しいハヤシライス作りに挑む。
ハヤシライスで世界を救え!! プロローグ
はじめに言っておくが、これはハヤシライスで世界を救おうとした壮大な人生の追体験記だ。
〜This is a story for S store manager.
Thank you for dear all staff〜
アルバイト先でのなんでもない日に伝説の幕は開けた。
「俺の店を支えてくれる決め手はハヤシライスだと思う」
S店長はそう言った。
彼はこの4月から個人事業主としてカフェをオープンさせた。公務員という安定した職を捨ててまでどうして彼がこの決断に踏み切ったかはわからない。
「我輩は起業家である。安定などとうに捨てた!」
彼はそう証言している。
そんな彼はカフェの看板メニューとしてハヤシライスを添えたかったのであろう。
「そいつぁいいや! ぜひトライアンドエラーといきましょうや」
僕は店長の話に乗った。
こいつは合法的に食費が浮く。
生活費を切り詰めて、いかに交際費を増やすかが死活の大学生にとってこのチャンスを逃さない手はなかった。
……などとやましいことを考えていたことは決してない。
「おおよ。世界一美味しいハヤシライスを作ってやらぁ!」
こうして僕たちのあくなきハヤシライス探求道は幕を上げるのだった。
もう一度言っておこう。
これはハヤシライスを世に広めようとした二人の英雄の物語である。
迷った時の対処法① 〜過去の自分がやりそうになかったことを選ぶ〜
皆さんはどれくらい悩みを抱えていますでしょうか。
もしくはどのくらいの頻度で悩みますでしょうか。
ちなみに僕はしばしば悩んでいます。
小さなことが気になって悩み考えます。
僕の敬愛する著者は「小さなことで悩む人は編集者に向いている」と本の中で語っていました。
理由としてはその悩みを解消するための本のアイデアを作家に提供できるからです。
ともすれば悩みの多い僕は編集者に向いているのかもしれないとポジティブに捉えておきます。
さて閑話休題となりましたが、迷った時の対処法。
今回は一つあげようと思います。
それは「迷った時は過去・今までの自分が選ばなかった選択肢を選ぶ」というもの。
自分の人生は過去の自分が今まで行ってきた選択でできている。
そして、いくつかの選択肢の中で悩んでいる場合は気にはなるけど過去にやった前例がないから選ぶのは気がひけるなという選択肢が相対的でもいいのでその中にあるんじゃないかなと思います。
今までの自分だったら選ばなかったけど興味惹かれる選択肢もあるはずです。
例えばレストランに行った時に「このメニュー気になるな。けど不味かったら嫌な気分になるからいつものお気に入りのメニューにしとこうかな」みたいな経験が一度や二度はあると思います。
その時に「このメニュー気になるな」となったメニューを選べばいいのです。
けど、対処法にはそれぞれ適切なTPOの傾向があると思います。
この対処法は日々の小さな、または中くらい程度のことで悩んだ時に使えるものだと考えます。
先ほど挙げたレストランメニューで何を選ぶかだったり、気になる異性に告白するべきか否か、ないしは告白するとしてアプローチ方法はどうするかなどなど。
進路選択や職業選択、結婚相手の選択などわりと人生の重要な意思決定に関わる選択には使用すべきではないかなと考えます。
なぜならこの対処法はあまりに博打によるところが大きく、どちらかといえば自分の世界、価値観を広げたい場合に限るからです。
しかし自分への戒めも含むのですが、人って自分が欲しいのにそれを持っている人を見るとどうしても嫉妬の念を感じてしまいますよね。
「隣の芝生は青い」という諺がありますが、人間はないものねだりをして生きていくことが多いんじゃないでしょうか。
「今までの自分が選ばなかった選択肢を選ぶ」ということは自分の価値観が広がること。
だから、他人の持っているものが実は自分には合っていなかったり、そんなに欲しいものじゃなかったりが分かるから重要なんですね。